新潟県佐渡島の固有両生類サドガエルの越冬環境に迫る調査を実施。水生動物の生息環境保全策の提案へ【生物多様性科学研究センター】
2025.03.11 |
絶滅危惧種のサドガエルは水田に水がない非灌漑期をどこで過ごすのか?
野外実験を通して、サドガエルは耕作放棄地を越冬場所として利用していることが判明
新潟県佐渡島に生息する固有の両生類サドガエル(Glandirana susurra)は環境省レッドリストの絶滅危惧IB類に選定され、保全策の確立など迅速な対応が求められています。しかし、本種は新種として認められるようになってから十数年しか経っておらず、生態についてはほとんど調べられていません。特に、水田から水がなくなる非灌漑期に、本種がどこに生息するのかわかっていませんでした。1年中水田で過ごす水生動物にとっては、現在の圃場や農法における非灌漑期を生き残ることは厳しく、保全のためにはこの時期の本種の生息状況の情報が必須です。
龍谷大学先端理工学部の岸本圭子 准教授(生物多様性科学研究センター兼任研究員)と、長野大学 環境ツーリズム学部の満尾世志人 教授らの研究グループは、前任校の新潟大学佐渡自然共生科学センター所属時の2018年10月〜2019年12月にかけて新潟大学大学院の学生と共に、佐渡島の固有両生類であるサドガエル(Glandirana susurra)の生態に迫る調査を実施し、耕作放棄地が越冬場所として有益であることを突き止めました。
本研究成果は、国際科学雑誌「Agriculture, Ecosystems & Environment」Volume 381(Elsevier社)において発表しました。
【→詳細:プレスリリース】

本研究では、水田に水がない非灌漑期にサドガエルの上陸個体(幼体と成体)がどこにいるのかを特定するため野外調査を行いました。その結果、稲刈り直後は水路や田面を利用していること、冬が近づくにつれ、耕作放棄地やその脇の土水路に高頻度で出現していることが明らかになりました。また、放棄地内部では大きな水域で多くの冬眠個体が観察されたことから、サドガエルが耕作放棄地内部の水域で冬眠していることが示唆されました。
さらに、耕作放棄地のどのような環境がサドガエルの冬眠個体に適しているのかを明らかにするため、4つの植物被覆を操作した野外操作実験を実施しました。操作実験の結果、草刈りが行われた草地の開放された水域より、植物が密生した草地内の枯れ草で覆われた水域で、顕著に多くの冬眠個体が確認されました。植物被覆の役割は解明されていないものの、サドガエルの越冬には放棄地内部に残された湿潤な環境だけでなく、植物が密生した草地で枯れ草などに覆われた水域が必要であることが示されました。
実地で取り組む保全活動は科学的根拠がないままに進むことが多いのが現状です。本研究成果はサドガエルのみならず、水田に生息する水生動物の生息に配慮した具体的な水田整備を検討する上で重要な知見をもたらすものです。