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絶滅危惧種イチモンジタナゴの「地域系統」を見分ける環境DNA解析の新技術を開発【生物多様性科学研究センター】

2026.01.29 |

国際学術誌で研究成果を公表。研究成果を地域の生物多様性保全の現場へ。


龍谷大学 生物多様性科学研究センターの伊藤玄 博士研究員と三重県総合博物館の北村淳一 学芸員、滋賀県立琵琶湖博物館の川瀬成吾 学芸員らの共同研究グループは、絶滅危惧種の純淡水魚「イチモンジタナゴ」1)について、採取した水から地域ごとの遺伝的系統を識別できる新たな環境DNA解析手法を開発しました。本研究成果は、国際学術誌 Conservation Genetics Resources に掲載されました。

本手法により、これまで個体を捕獲したDNA解析が必要だった地域系統の識別を、魚体を痛めることなく、採取した水から高感度で実施することが可能になります。三重県・滋賀県の保全池で行った実証実験では、既存の捕獲調査と一致する結果が得られ、現場での実用性が確認されました。

地域固有の遺伝的多様性を守ることは、生物多様性保全の重要な基盤です。本学が掲げる「ネイチャーポジティブ」実現に資する取り組みとして、今後の地域固有の生物多様性保全や外来系統の早期発見に大きく貢献することが期待されます。

詳細はプレスリリース(2026年1月28日配信)をご覧ください。

 

【環境DNA分析技術の社会実装に向けて:滋賀県での取り組み】
今回の共同研究は、滋賀県で活動する市民団体「ぼてじゃこトラスト」2)との協働により、イチモンジタナゴの保全活動に実際に応用されている点も特徴です。当センターは、ぼてじゃこトラストと共に「イチモンジタナゴの復元放流」に取り組み、開発した系統特異的環境DNA分析によるモニタリングを行っています。

詳細はこちらのページをご覧ください。


【補注】

イチモンジタナゴ
(写真:ぼてじゃこトラストで保全されているイチモンジタナゴ/伊藤玄撮影)

1)イチモンジタナゴ
イチモンジタナゴ(学名:Acheilognathus cyanostigma)は、コイ科タナゴ亜科に属する純淡水魚で、平野部の川や湖沼、ため池に主に生息し、国のレッドリストで絶滅危惧IA類に選定され最も絶滅が危ぶまれている淡水魚類の1種である。これまでにDNA解析により、琵琶湖・淀川⽔系周辺と加古川・由良川⽔系(近畿系統)、東海地⽅(東海系統)の各地域に遺伝的に分化していると考えられている。

2)ぼてじゃこトラスト
「ぼてじゃこトラスト」は、平成8(1996)年に琵琶湖淀川水系 の小魚が棲める豊かな自然環境を守ることを目的に設立した市民団体。「ぼてじゃこ(タナゴ類)」が再び棲めるような環境を取り戻すため、イチモンジタナゴをシンボルとした生態系保全と、ぼてじゃこ文化を次世代につなげるワンパク塾を軸に活動を行っている。なお、令和6(2024)年4月には、滋賀県の「生物多様性しが戦略 2024」にかかる取組として、「希少な生きものの保護増殖事業」に認定された。
https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/5580059.pdf
https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/5469743.pdf